ベルギー、ブリュッセルを、一日散策して巡り合った、かわいらしいものたちを写真におさめ、ひとつのコラージュを仕立てました。私の感覚においては、美味しいベルギービールもかわいらしいものの仲間です。
かわいいという言葉、すでにオックスフォード辞書に[kawaii]という英単語として掲載されています。名詞・形容詞どちらでも使えるようです。一方の、かわいいという表現を意味する英単語は、cute, sweet, nice, gentle, charming, darling, precious, lovable, adorable などなど、数々あげられ、状況によって使う単語も変わるようです。なかなか難しいです。
平安中期に活躍した清少納言も、春はあけぼの・・・にはじまる随筆「枕草子」にかわいらしいものをあげていました。以下その冒頭を抜粋:
うつくしきもの。瓜にかぎたるちごの顔。すずめの子の、ねず鳴きするに踊り来る。二つ三つばかりなるちごの、急ぎてはひくる道に、いと小さきちりのありけるを目ざとに見つけて、いとをかしげなる指にとらへて、大人などに見せたる。いとうつくし。頭は尼そぎなるちごの、目に髪のおほえるをかきはやらで、うちかたぶきてものなど見たるも、うつくし。
(現代語訳)かわいらしいもの。瓜に書いた幼い子供の顔。すずめの子が、人がねずみの鳴きまねをすると跳ねてやってくること。2、3歳ぐらいの子供が、急いではいはいしながらよってくる途中で、とても小さなほこりがあったのを目ざとく見つけて、とてもかわいらしい指でつかまえて、大人などに見せた様子。髪型をおかっぱにしている子供が、目に髪がかぶさっているのにそれを払いもせず、首を少しかしげて物など見ているのも、かわいらしい。
かわいらしい、という感覚を刺激するツボは、ひとそれぞれだと思います。が、たいてい、視覚から入って、その記憶などともリンクしながら、嬉しい感覚を湧き起こすもの、と、定義できるように思われます。ここについては、時代も国境も、言語のカベも、大きく影響しないのではないでしょうか。日常、かわいらしいものを見つけて、心豊かに過ごしたいものです。
ベルギービールについて備忘録:
MORT SUBITE – LAMBIC: 通常フルーツビールで愛されているビール、A la Mort Subiteで生ビールを楽しめる。LAMBICはフルーツ抜き、若干濁ったブロンド。思いの外甘味が強い。alc. 5.0%
RODENBACH: フルーティというのか、甘味の強い香りのダークカラービール。新旧ビールを混ぜてつくる製法らしい。alc. 5.4%
Tripel Karmeliet: トラピストビール。トリプルならではの、うっすらとした麦の味わいを持ちつつ薫り高いブロンドビール。alc. 8.4%