Suzuki Kiitsu, Suntory Museum

10月2日朝のNHK日曜美術館に刺激を受けて、サントリー美術館で開催中の「鈴木其一 江戸琳派の旗手」に行ってきました。事前の広告を見て、かねてからウズウズしていた展示会ですが、行ってよかったです。 若冲好きを繰り返し唱えていますが、鈴木其一単独の展示会となると、ご本人の魅力が凝縮した作品を浴びるように拝見できて、かなりときめいてしまいました。 9月10日からスタートした本展、10月3日までが前期らしく、作品の入れ替えがかなり発生するとのこと、下調べなくのぞんだので、「え、それなら後期も見たい…」なーんて思いも盛り上がり、ひとまず図録(2800円)を手にしてしまった次第です(コラージュのうち3点は図録からの抽出です)。 鈴木其一は、江戸後期に江戸琳派をおこした酒井抱一の一番弟子だそうで、江戸の晩年に活躍したそうです。お住まいは今の台東区だったとか。激動の時代背景の中、どんな形でこんなダイナミックで愛らしい絵を紡いでいらしたんだろうと、想像するのも難しいくらいの時代ギャップながら、こみあがる好奇心は抑えられませんでした。 特に晩年のチャレンジングな作風を発揮された作品群が見どころです。動植物、さまざまなもののエネルギー(みたいなもの)を上手にひとつの画におさめていて、ため息が出ました。10月30日まで、東京ミッドタウン3Fのサントリー美術館で開催中です。六曲一双の朝顔図屏風(メトロポリタン美術館所蔵)は、東京会場のみでの公開とのこと、ご興味ある方はぜひ☆

Serizawa Keisuke

現在、東京国立近代美術館工芸館で開催中の「芹沢銈介のいろはー金子量重コレクション」を訪れました。 芹沢銈介は日本を代表する染色工芸家、「型絵染」で人間国宝に認定された方です。昨年2015年が生誕120年だったとか。作品は着物、帯、のれん、屏風、さらに本の装丁やカレンダーなど多種多様。 紅型由来のはっきりした線と多彩な色遣いで、愛らしい、親しみを覚える作品が満載でした。なお、こちら、写真撮影OKだったので、展示作品のいくつかをパチパチさせていただきました。 この芹沢さんの工房は東京・蒲田にあったそうで、母の幼少期に接点があったとか。ちょっと間接的ながら親近感を覚えるトピックです。5月8日までやっているので、ご興味ある方、ぜひ足を運んでみてください☆ なお、こちら工芸館の建物は、1910年に建てられた近衛師団司令部庁舎を改修したものだそうです。1972年に重要文化財に指定。 お天気の良かったこの日、東京がようやく桜開花宣言。 近代美術館から目の前の皇居へちょっと寄り道。あいにくソメイヨシノはつぼみがかたく、桜は彼岸桜の満開モードどまりでしたが、二の丸庭園ではボケ・レンギョウ・シャガなど、春らしい花の数々を楽しむことができました。 今週末3月25日~31日は、皇居内桜の通り抜けを実施するとのこと。例年すごい人混みらしいです。チャンスと体力があれば、ぜひチャレンジしたいところです。今週末までは、雨知らずの天気予報。ぜひこのままキープしてくれて、この春の桜を長く楽しめることを期待します!

St. Petersburg Pulkovo Airport

お楽しみの休暇もあっという間、サンクトペテルブルグともしばしのサヨナラです。 零下20度以下の毎日から解放されるのは、ちょっとほっとするかもしれませんが、年末年始にかけて、たくさんのお楽しみを享受させてもらいました。心から感謝します、ありがとうございました! ここでひとつ、サンクトペテルブルグ、プルコヴォ空港をご紹介。プルコヴォ空港が新しくなったのは2013年のこと。空港そのものの建築は、イギリスのグリシャム建築事務所の仕事だそうです。雪の重みにも耐えうるデザインを凝らした天井と、サンクトペテルブルグの島と橋で結ばれた街をイメージしたレイアウトがポイントだとか。 新ターミナル開設を折に近代芸術を空港設置するプロジェクトを開始したそう。 私が興味を惹かれたのは、出発フロアに飾られた4つの飛行機の羽根をもった天使の像。Dmitry Shorinの’I Believe in Angel ‘という連作の一部だそうです。こちらのDmitryさん、ロシアの近代芸術家10選に入る方とのこと。サンクトペテルブルグの街の芸術に触れるのが、この街を訪れる一番の目的とは思いますが、空港の中で楽しめる芸術があることも知っていただければ幸いです☆ サンクトペテルブルグを旅立って、ブルガリア・ヴァルナへ戻ってきました。気温16度、たいへんあたたかいです。それでも、聞くところによれば、元日まわりに大雪が数日にわたって降ったそうで、たいへんな寒さだったとのこと。ようやく暖かさが戻ったところへ舞い戻ったようす。 ブルガリアのクリスマスは12月末なので、とっくにクリスマスモードは片付いているかと思えば、空港のクリスマスツリーはそのままで、ショップにはクリスマスグッズがまだ並んでいました。日本の街中のイベント装飾の切換えが極めてきっちりしている一方で、ヴァルナのゆるさになんとはなしに安堵感。 帰路の経由地モスクワでは、大雪マイナス14度。空港除雪活動が盛んにおこなわれていました。搭乗した飛行機の窓に雪が積もってる様をみたのは初めてです。大雪にもかかわらず、大量の飛行機の離発着を運営している北国の空港に、あらためて天晴れの念を覚えました!

Hermitage Museum 2016-JAN

エルミタージュ美術館に、昨夏からマティスも入っているとの情報をみつけたので、行ってきました。もちろん、別館(The General Staff Building)です。 昨年訪れた際と同様、4階の ‘Sergey Shchukin and the Morozov brothers Memorial Gallery’ の一角です。しっかり拡張してくれていました。マティスだけで3部屋分空間を割いていてくれて、感激ひとしおでした。その他、ピカソ、ピエール・ボナール、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、シニャック、ピサロ、シスレー、ルノアール、モネ等、印象派の大御所の作品がぜいたくに楽しめて、それはそれは、ゴキゲンのひと時でした。 まだ、館内地図がなくて、階段近辺の表示板を頼りに歩き回る点に変わりはありませんでしたが、展示品としては完成に近いように感じました。 別館には、王室御用達の宝石商(工房)のカール・ファベルジェの部屋があり、ファベルジェ美術館のボリュームとはいかないながら、目がキラキラしてしまうような細工を凝らした宝飾品が並んでいて、ステキでした。こちらのいくつかは、プーチン大統領からの寄贈品なのだそうです。 王室300年贈答品コレクション ‘Gifts from East and West to the Imperial Court over 300 Years’ も、まだ展示中で、あらためて日本からの贈り物をまじまじと眺めてきました。 壁にかけられた大きなカーペット、犬追物のその画は原在泉、織り手は川島織物 1889年の作品だそうです。画をふちどるようにロシアの鷲紋と日本の菊花紋が織り込まれていて、あらためて楽しく拝見しました。 織物の隣のツボ、太刀、刀も、どれも逸品らしく(詳しくないのでよくわかりませんが、キレイ!)、過日の贈り物選定係の方が、どういった経緯でこちらを選ぶに至ったのやら、再び思いを巡らせてしまいました。そして300年を経た今、どちらの国も、めざましい変化を遂げていることを思うと、別途感慨深いものがあります。 さて、せっかくなので、別館堪能後、本館にも足を運びました。年が明けて、冷え込みが激しく外は零下20度近いのですが、観光客の足が減ることはなく混んでいました。今やネットでチケットを手配した方々の列も大行列のようで、午後になると、どこもかしこも行列で驚きです。 本館はツアー客が多く、目玉の絵のダヴィンチやラファエロの絵の前には、がさっと人垣ができているので、ひやかしで写真を撮るのもひと苦労でした。とはいえ、やはりエルミタージュ美術館、ものすごく広いので、いったん中に入ってしまえば、それほど混雑が気にならないのが素晴らしいです。 今回も、時間をたっぷりとって終日堪能してしまいました。もうちょっと削って、別棟にある宮廷工房(Imperial Porcelain Factory)を訪ねるべきだったと後悔。こちらに行くにはメトロを使っていかねばならない距離なので、間に合わず。時間繰り失敗しました。ぜひまたの機会を作りたいと思います!

Impressionism in Berlin

先日ベルリンを訪れた際、印象派展をやっているらしいとの情報をゲットし、Alte Nationalgalerieへいってみました。博物館の集まっている博物館島(ムゼウムスインゼル)の中にあります。この島自体がユネスコ文化遺産に登録されているそうです。 さて、印象派展と期待して訪れたものの、”Impressionism – Expressionism. Art at a Turning Point” (開催期間:2015-05-22 – 2015-09-20) と題した、フランス印象派とドイツ表現主義の類似性・差分に注目した企画展示。Max Lievermann, Lovis Corinth, Claude Monet, Edgar Degas, Pierre-Auguste Renoir, Emil Nolde, Ernst Ludwig Kirchner等、170以上のフランス・ドイツの芸術家の傑作が並んでいました。失礼ながらドイツ表現主義なるものを知らなかったので、その特徴とともに、ほほぉ、なるほど、と楽しく鑑賞することができました。時代背景の似通った点から、場所こそ違えど、類似性を発するものだな、と。印象派展として期待したものは、バッサリと裏切られた形になりましたが、面白い視点を学ぶことができました。 博物館島、ひとつに絞るなら、ここじゃないでしょ、と突っ込まれそうですが、満足の経験ができたと思っています。残りの博物館はまた今度のお楽しみです! 参考: 博物館島関連→ベルリンの世界遺産!5つの博物館が集まる博物館島(All About) 近代絵画史→10分でわかる近代絵画史! 19世紀の印象派から20世紀の抽象画までの絵画を画像付きで解説(ノラの絵画の時間)  

Korin’s Art in Atami

東京滞在の振返り、河津旅の続きです。 河津桜を見たアシで、伊豆北川にある吉祥CARENで一泊、翌朝から雨だったので、当初予定の湯河原梅林鑑賞をあきらめ、熱海のMOA美術館を訪問しました。このたびの企画展は「燕子花と紅白梅 光琳アート 光琳と現代美術」。今年2015年は尾形光琳(1658-1716)の没後300年だそうで、これを記念した特別展です。尾形光琳の代表作、燕子花と紅白梅の屏風2つが対面状態で飾られていました。この2つがそろうのは、56年ぶりのことだとか。圧巻の屏風を眺めつつも、似たような(雨で行先なし)境遇の観光客がひとつ空間に押し寄せていて、ここは東京か?と言いたくなるような混み具合でした。。。 没後100年、200年と、過去、その度に光琳を仰いだ方々が、企画をおこしていたことなどを拝見すると、光琳芸術とその階層(ヒエラルキー?)に、あらためて頭が下がります。 話はそれますが、こちらMOA美術館の企画展とは別に、京都では琳派400年記念祭「RIMPA2015」というのをやってるそうです。有名な風神雷神図を書いた俵屋宗達(生没年不詳)と本阿弥光悦(1558~1637)が活躍した時代、1615年を琳派元年とした上での経過400年を記念しての事業なのだとか。年の数え方にはへぇ~の感を覚えますが、似通った内容にして別の旗を同じ年に企画している点に、興味を覚えました。 ※琳派は尾形光琳から派生した名称ながら、そのルーツにあたる、俵屋宗達・本阿弥光悦にさかのぼって、すべて琳派と呼ぶのが、現在の一般的な理解なのだそうです(Wikipediaより)。 またまた別の話題、このたびお世話になった吉祥CARENについて。 もともと、つるや吉祥亭の別館だったものが一昨年?改装オープンしたそうで、モダンな雰囲気の心地よい空間でした。熱川駅から定期的にシャトルバス(予約不要)もあり、アクセスに不便なし。チェックイン時にお部屋へ案内してくださる方が、館内サービスを一枚にまとめた用紙とともに説明くださり、各種あるサービス内容も明快。本館との間を往来する車もあり、館内の温泉を複数堪能できました。あいにくお天気には恵まれず、海の向こう沖に見えるはずの島々には挨拶できずじまいでしたが、波の音を聞きながらお湯につかる贅沢を堪能できて満足でした。夕飯時のデザートに、サイフォンでコーヒーを淹れていただいたのが、とても久しぶりで嬉しかったです。帰りのアシも、熱海方面に乗るとお伝えしたら、シャトルバス時間外にもかかわらず、伊豆大川駅まで送っていただく心遣いもいただき、感謝でした。ただ残念ながら、ネット環境はからきしでした。まだ伊豆エリアのWiFi環境はこれから開拓なのでしょうか。伊豆はおいしくて海もきれいで楽しい土地なので、がんばってほしいです。

Hessisches Landesmuseum

Darmstadtにてリニューアルオープンをとげたばかりのヘッセ州博物館 Hessisches Landesuseum、オープン初日の9/13(土)・翌14(日)は、無料招待日。ありがたく、無料招待にあずかってきました。通常は大人6ユーロ、子ども4ユーロだそうです。 地上4階+地下1階、古代エジプトの美術品にはじまり工芸品や宗教画、現代アートまで、さまざま(おまけ:日本の工芸品として、甲冑と鏡がありました。甲冑についてた顔があまりにラブリーだったのでつい写真におさめてしまいました)。 展示説明は無論ドイツ語なので、ほとんどわからないものの、見ているだけでも十二分に興味深く、時間を忘れました。いまどきの博物館ならでは、デジタルツールを活用した見せ方の工夫も多数見受けられ、違った観点での関心もあり、正味3時間ほど滞在、休憩時間ゼロでした。 博物館内にはカフェも併設していて、軽食も楽しめるようです。 表示言葉がわからない口惜しさまぎれに、たまたま最初に入った古代エジプトの美術品の中に、ネックレス・腕輪・指輪・イヤリングなどの宝飾品、櫛まであったことを受けて、中世絵画の中に、どんな形で宝飾品が描かれているのかを、見てみることにしました。すると、宝飾品をまとって絵画に登場するのは、富裕層。男性でも、ネックレスや指輪、ブローチなどを普通につけていました。さすがにイヤリングは女性のみ、でも、かなり稀。工芸品そのものの展示もあるので(地下階です)、宝飾品の技術が格段に精度を上げていく様子も見受けられ、本当に楽しかったです。職人さんは、何を思いながら、モノづくりにのぞんでいたんでしょう。 感激ひとしおで博物館を後にしたところで、汽笛の音が聞こえて振り向くと、通常トラムが走っている道を、蒸気機関車風?トラムが走っていました。レア三昧を堪能した一日です。 ごちそうさまでした。