silk lab, kimono

先日、中野区沼袋のシルクラブさんを訪れてきました。 ネット越しに着物情報をあさっていた中、こちらで「菊地信子コレクション~世界の古裂で着物を遊ぶ」というイベントを発見。なおかつ気仙沼たかはしきもの工房の高橋女将の悉皆のお話もうかがえるときたら、行くでしょう、と。 うかがってよかったです。菊地信子さんの好きを極めた着物の楽しみ方をふんだんに拝見することができました。あいにく、身長差がありすぎて、同じものを身にまとうことはできませんが、すばらしさに目を見張りました。 そして高橋さんのお話し、こちらもよいお話をたくさんでした。着物を永く楽しむコツから思いや考え方にいたるまで、多様なお話を元気にテンポのよいトークで楽しくうかがうことができました。ステキなお話をうかがうことができて幸いです。よい時間でした。

Kimono Salone 2016

日本橋で開催中のイベント「きものサローネ」を訪れてきました。9月19日(月)まで、YUITOにて「きものカーニバル」のテーマで開催してます。 「きものサローネin日本橋」は、今年で5年目、2012年からCOREDO室町の三井ホールを中心に毎年開催されている、きものファッション&カルチャーイベントです。 毎年、きもの系ものづくりのお話しを直にうかがうことができ、多種多様な着物コーディネートを楽しめる、たいへん楽しい空間です。イベントとして、マネキンに着せ付けたコーディネートで人気投票もやっていますが、どちらかというと、訪れていらっしゃるリアルなコーディネートの方が、目に楽しいです。 今回は、雑誌「美しいキモノ」の表紙になれるブース設置があり、気分は着物モデル♪を体験させてもらってきました(会場のスタッフの方に撮っていただきました、ありがたいです)。こういう茶目っ気の効いた趣向が嬉しいです。 今年は男性で着物を着た方のご参加が多いように感じました。着物男子が流行っているのかもしれません。着物人口が増えるのは、いずれにしても嬉しいことです。 サローネ後半は、来月10月末(10/28-30)に開催とのことです。日本橋の地下歩道には、100体の着物コーディネートが並ぶとか。 盛夏が過ぎ、着物を着るのがおっくうでない気候になってきたので、イベントにかこつけて、着物頻度が上がりそうなこの頃です。

Nutcracker, Ballet, St. Petersburg

クリスマスプレゼントとして、マリインスキー劇場へバレエ「くるみ割り人形」を見に連れて行ってもらいました。 昨年はエルミタージュ劇場でくるみ割り人形を見て、大いに感激したので、今年は別の劇場で見たい!とリクエストしてのマリインスキー(旧い方)でした。 バレエに全く詳しくないものの、劇場お抱えの劇団というのかダンサーというのかが異なるようで、マリインスキーのダンサーの層の厚さに感心しました。前回エルミタージュの時には、男性が何度か役を変えて登場していて、その体力にも感心したわけでした。一方今回のマリインスキーでは、男女ともにめちゃくちゃたくさんいるなーと。ステージも広いですし、装飾も含めて、見ごたえはバツグンでした。そして、群舞が迫力。時には32+2人が躍りながら交錯するので、集団行動(リンクは動画です)もびっくりです。 バレエダンサーの皆さんって、線が細いのに、正確な動きをはじき出せるのは、その下に力強いカラダが備わってるからなんでしょうね。あらためて人間の可能性のはかりなさに感服、敬意を覚えました。 さて、この度ようやく個人的に着物デビューを果たしました。着物といっても洋装くずれの着こなしです。短期滞在なのと、足元の悪さを心配して、下着はタートルネック・レギンス、それに着物を羽織ってひざ丈にたくし上げて半巾帯を結んだ簡易スタイル。足元は長ブーツです。それでも、会場にいらした方々には、着物と認知してもらえたようで、満足です。祖母からもらった古い着物ですが、異国の地でこんな形で着られるとは、思ってもみなかったことでしょう。異国の地での着物デビュー、恐れることもないことがわかったので、折をみて再度、再々度と、チャレンジしていきたいと思います。  

Tango Twist – Exhibition

松屋銀座を訪れた折、たまたま7階ギャラリーで丹後織物展覧会に遭遇しました。 1720年に誕生した「丹後ちりめん」は東京オリンピックイヤーの2020年には300年を迎えるそうで、和装用白生地絹織物としてトップシェアを誇っているそう。 参加企業8社の丹後織物作品と共に、織物糸や、機織りの道具、各社の制作現場で働く人々の写真展示もあり、小さな空間ながら、みどころ抜群でした。京都の丹後にこれだけ多様な技術集団が集まっていることも興味深い事実です。 丹後ちりめんおよび、丹後の織物業の伝統と技術を未来に繋ぐために、初めて企画された展覧会だとか。8階催事場の北海道物産展を訪れたアシで立ち寄ったものの、心躍るたいへん楽しい空間でした。 企画: 第719回デザインギャラリー1953企画展「Tango Twist -糸と織のリズム-」 会期: 平成27年10月14日(水曜日)~11月9日(月曜日) 場所: 松屋銀座7階デザインギャラリー1953

Nihonbashi, Tokyo

日本橋で道の始まりの道路元標をみつけたのでパシャリ。日本橋の三越側の橋のたもとにあります。交通標識にある「東京まで○km」の基点になっているポイントです。 橋中腹の麒麟は有名かもしれませんが、東京都の紋章を持った獅子が両端にいるのもこの度気が付いて、ほほぉと思ったのでした。おまけに魚河岸発祥の地の像として乙姫さまが据わっていたりもします。いまさら発見多数です。 いまの日本橋は19代目1911年4月3日に開橋したのだそう。すでに100年を超えて、次の世代に時を紡ぎつつあります。数年前の日本橋百周年に初めて訪れた際にも思ったことですが、歴史って、文化ってすごいなと。当時の方々が後世に残ることを思っていたかどうかは知りませんが、悠久の時を経て今に至っていること、そのこと自体のすごさ、重さについて、時々ちょっと立ち止まって考えることは大切だと思います。非常にバクとした表現ですみません。。。 そして日本橋界隈、三越・高島屋だけでなく、老舗の名店、新しくできたコレド室町、YUITO、徳福神社など、歩けば歩いただけ楽しめる、ざまざまな空間が広がっていて、空間としての企画も盛りだくさんのようす。これからいよいよ楽しみです。 近く、10月7日~10日できものサローネin日本橋が開催されます。着物好きならご存じのイベントとは思われますが、キモノ好きが集まるとどんなことが起こっているのかな?という興味から足を運んでも、きっと面白いことになっていそうな空間のはずです。ご興味抱かれた方、ぜひ日本橋を目指してみてください。新しいお楽しみが発見できると思います☆

Koda Aya Kimono-Cho (Aya Koda)

『幸田文 きもの帖』 幸田文 著 青木玉 編(平凡社) 幸田文さんは、作家の幸田露伴の娘さん、ご自身も小説・随筆等、執筆活動をなさった方で、日常生活を着物で通されたのだとか。本の内容紹介欄には以下の記載が。 「きものはその時、その場、その気持ちで着るもの」。生涯をきもので通したきっぷのいい東京の女、幸田文が語るきものの楽しみ方。本物のおしゃれがわかる、ふだん着のきもの入門。 『しつけ帖』『台所帖』に続く、「幸田文の言葉」3冊目。別途岩波書店から出ている『幸田文全集』を底本として、キモノに係るものをまとめたもののようです。 いっとう最初の「かきあわせる」の項にあった、一節。 日本の女が長いあいだ日本の着物を着なれてきていちばん感じるものは、「かきあわせて着る楽しさ」ではないかと私は思います。上前と下前をかきあわせて着る腰の感覚です。左右の襟をかきあわせる胸もとの感覚です。(中略)和服というのは、つまり自分の心情如何で自由に自分の形をこしらえて行くところがおもしろいのだと思います。 ステキです。こうした着る際の心情(「きこなす」の項もあります)だけでなく、素材、柄行、色目、季節、小物の話、数多の着物にまつわるエピソードが織り込まれていて、たいへん興味深く読みふけることができました。どれをとっても、たいへん丁寧に穏やかな語り口でつづっていらっしゃるので、余計に親しみを覚えました。 自分自身、キモノ愛好歴かなりになりますが、何がいいの?どういいの?といったところを、上手に簡潔に説明することができず今に至っており。物書きのみなさんがどのように語ってきているのかな?といった興味で、手に取った一冊です。 まだまだ未熟につき、明快なこたえにたどり着いていませんが、「着物が好き」をきっかけに、日本に根付いている文化、習慣等々を学び、残していける日々でありたいと思います。

Kimono no Yorokobi (Mariko Hayashi)

『着物の悦び きもの七転び八起き』 林真理子(新潮文庫) あの林真理子さんも、着物好きだったそうで、着物を始めたころの思い出とともに、着物を始めてみようかという方、着物を始めたばかりの方、着物が好きな方に向けて、思いのたけをつづったキモノにまつわるエッセイ本。 彼女の財とコネクションあってして、けっこうなコレクションをそろえ、楽しんでいらっしゃる風がよくわかり、面白く読める反面、ちょっとハイソすぎて参考にするにはハードルが高すぎると感じました(笑)。 彼女がこれを書いた頃(20年近く前)と、自分の年齢がどうやら近いことがわかり、人生いろいろ、と、失笑を含む思いをめぐらせました。20年前の着物(業界?)と今とで、どれほど違いがあるか、私にはわかりませんが、世の中の差分と照らしてかんがみるのも面白いかもしれません。 さて、本編最終部「着物は楽しい、むずかしい」と題したパート、1992年に「京都織物商業組合」での講演の中で、共感を覚えたテキストを備忘録までに残します。 ・着物のお蔭で、私は人生が二倍にも三倍にも、豊かになったというふうに思っています。たかが着るものだとか、布きれだというふうには私には思えないのです。(中略)新しく仕立て上がった着物に帯を合わせて、帯揚げや、帯締めをあれこれ並べてみる喜びというのは、知らない人に話しても、お分かりにならないかも知れません。けれども、それを知った者というのは、生きてることの贅沢さに触れることができるのではないかと、私は確信しております。 ・(前略)ところが、二十歳の本当にキレイな女の子でも光を失ってしまうのが着物です。そこに七十歳のおばあさんが現れて、本当に息を呑むような、実に心憎いばかりの配色で、袖口から見える長襦袢の色も着物に適っていてそのしぐさも美しい。するとその七十歳のおばあさんが二十歳の女の子に勝てるというのが、私は着物だというふうに思っております。 着物が好きな方にこそ頷けるけれども、きっと、そうでない方には、ピンと来ないところなんだろうところを、たいへんスパッと表現してくださってて、気に入りましたので引用。 着物を楽しむには、現時点、若干厳しい環境下にありますが、あきらめることなく、いろいろ模索し続けます。

on’na no tashinami (Taka Kimura)

『女の嗜み-今、伝えておきたいこと』 木村孝(角川oneテーマ21) 染色研究家で随筆家の木村孝さんが雑誌に寄稿していた随筆を一冊にまとめ、92歳になった2012年に発行したもののようです。テレビや雑誌『美しいきもの』でおなじみとは思いつつ、敷居の高そうなおばあちゃまだな・・・と、拝見していましたが、これまで、彼女の著書を手に取る機会がないままでした。今回、偶然手にしたのは、バックカバーにあった「人生の達人が伝授する 女として、妻として、幸せの作法」というテキストに惹かれたからでした。 着物愛好者な私には、たいへん機知に富んだコンテンツ満載で、「この本に遇ってよかった!」と、嬉しく楽しく読破しました。 木村孝さんは、京都の染色家のおうちに生まれ、染色の勉強もしつつ、女学校を卒業、お勤めもした上で家業を継ぎ、海外で個展を開いたりデザインを学んだり、と、稀にみる、ひらけた女性に違いありません。ですが、大上段にかまえるでもなく、特に女性に向けて、(日本)女性かくあるべき、と、おだやかに諭す、このトーンが気に入りました。90歳を超えてなお、しゃんとして人前にも出て、教えを諭す、たいていなことではありません。 私自身、着付けを習い始めて10年を過ぎました。何かあるときには、いつでもきちんと着物を着ることができる人でありたいと思っています。季節やシーンに気を払うこと、そんな小さなことにまでこの本は触れていました。こうしたことをありがたがるのは、若干古めかしい考え方かもわかりませんが、こんな人が一人くらいいても、世の中順調にまわるものです。 素敵に年をとることを目標に、日常のちょっとした心がけとともに、コツコツと美しく過ごしていきたいと思います。